エゴマはかつて日本中で栽培されていた作物でした。その歴史はきわめて古く、縄文時代にはすでに伝来していたとされています。エゴマは他の作物と比べて気象・土壌などの条件に左右されにくく、比較的作りやすい作物でした。それゆえ全国各地で栽培されるようになっていきました。
食用としての種や葉っぱの利用はもちろん、油は灯りの燃料や傘の塗料としても利用されてきました。ただ、江戸時代以降に次第に菜種にとって代わられ、さらに海外のエゴマが輸入されるようになったことで栽培地を減らしていきました。
現在の日本の農業人口は減少の一途を辿っており、耕作放棄地は年々増加しているのが現状です。特に水田は農地の半分以上を占めているのに、そのうち放棄された水田は全体のおよそ40%にものぼるそうです。
今まで水田として利用されてきた土地は排水性が悪く、そのままの状態ではほとんどの作物がうまく育てることができません。つまり、多くの土地がうまく活用できずに無駄になってしまっている状況なのです。
我々はその現状を打開すべく、それらの土地を有効に活用して、エゴマ栽培を広めていきたいと考えております。エゴマは初期生育こそ遅いものの、条件がよくない土壌でも一度うまく根を張ってしまえばほとんど管理をしなくても丈夫に育ってくれます。
現在エゴマ栽培をおこなっている農家の多くは、種まきから収穫までのほとんどの作業を手作業でおこなっております。
手で種を蒔いて、育った苗を手で畑に植えて、収穫も一本ずつ切っては運び、シートの上に広げて人力で脱穀しています。それから脱穀したものは天日干しして、ゴミを取り除き、大きな桶や洗濯機を使って水洗いして、やっと油を絞れる状態になります。
これらの作業の身体的な負担は大きく、特に高齢の方が行うにはとても大変な作業となっています。他の栽培作物に比べてエゴマはマイナーな作物のため、エゴマ専用の機械などは少なく、多くの作業が手作業になってしまっているのが現状です。こういった要因も、エゴマの栽培面積が広がらないことに大きく関係していると考えられます。
グランドグリーンでは、これらの作業の機械化体系を確立することで、生産者の作業負担を減らすことができないかを日々研究しております。今年の栽培はこれまで手作業で行ってきた種まき、定植、中耕管理、収穫、乾燥、ゴミ取り、洗浄を機械で進めております。
種まきはセルトレイに自動で土を詰める土詰め機を使用した後、吸引式の播種機で一気に種をまきます。定植は乗用の全自動定植機でセルトレイをセットして、自動で植えていきます。栽培途中の管理については乗用の中耕機で土寄せと除草を合わせて行います。収穫はコンバインで収穫と脱穀を行います。最後に収穫したエゴマのゴミを分別して取り除く機械に通した後に、穀物用の乾燥機と洗浄機を使用して油を絞れる状態までエゴマを綺麗にして完成です。今年は岐阜県で約3.6haの面積で栽培を進めており、11月にいよいよ収穫作業になります。
前年はほとんどの作業を手で行っていたこともあり、機械化の恩恵をしみじみと感じることができております。エゴマ栽培の機械化体系を確立してそれを伝えることで、日本におけるエゴマの栽培面積が増えることに少しでも貢献できることを期待しております。
(この記事を書いた人:フィールドスタッフ小木曽)
▼【機械化】エゴマのたねまきに播種機を導入 動画はこちらhttps://www.gragreen.com/post/hahatakelabo-005
▼【機械化】エゴマの定植に乗用定植機を導入 動画はこちら
▼【機械化】エゴマの中耕に乗用管理機を導入 動画はこちら
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